カオスから薄明へ

入院生活のサマリー(6): 退院

より厳しい日々への旅立ち


いよいよ待望の退院。日曜日とあって人は少ない。何人かの方にお別れの 挨拶をして、ナースステーションにも御礼を言いに行く。そうしているうちに 呼んでおいた「ジャンボタクシー」(8人乗り)が到着。荷物をいっぱい乗せて 出発。

退院日の記録は病床日誌から。若干加筆した。

いよいよ退院。12月5日より4か月ちょっとぶり。嬉しいかときかれても素直にイエ スとは言えない。なぜなら、これからが自力での治療であり、社会復帰へ向け ての闘いだからだ。不安発作がおきても、ナースコールもできないし、医師を 呼んでもらうこともできない。要するに不安なのだ。自分しか頼れるものはない。

今、一見元気なのは、ストレス源から隔離されているからにすぎない。こ のストレス源をうまくかわしつつ、とにかくずぶとく生きる練習をしなくては ならない。

退院前日、担当ナースから「もう少し不真面目であってもいいのではあり ませんか。」という忠告を受ける。:-) 御意。

真面目すぎることが病気の原因だからだ。

私の治療には、薬物療法と精神療法が併用されたわけだが、それはとどの つまり、薬と一種の良い意味での「洗脳」による治療だったと思う。本人の真 面目すぎる性格や、逆に自己愛の強すぎる傾向とか、どこまでも上昇したがる 性癖を見直し、人生、必ずしも完璧でなくてもいいんだ、ということを繰りか えし主治医と話しあうことによって、今後また自分を追いつめないように精神 をチューニングするのが、私にとっての「精神療法」であったと思う。

実際、4か月余りの間に、恐ろしいほど人生観が変わったと思う。性格は確 かに明るくなった。が、心には底なしの不安が残っている。なぜなら、もう誰 も側にいて治療してくれないからである。これからはいちいち看護婦さんを呼 んだり、主治医にカウンセリングしてもらえるわけではない。本当にこれから やって行けるだろうか。社会復帰はできるのだろうか。

主治医と病棟スタッフ(そうじのオバチャンから心理療法士にまで至る人) あてに御礼のメッセージを残してここを去ることにする。

外は眩いばかりに光り輝いている。良き門出となりますように。

事実、この日から始まる自宅療養の日々は山あり谷ありの、それはそれは険し い道のりとなるのであった。
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$Id: hosp6.html,v 1.1 1999/01/16 12:14:09 malte Exp malte $

Author: Kyoko Rikitake <malte@k2r.org>
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