11月9日: 「ベル友」交際(2)


昨日,一昨日ちょっとふれた「ベル友」の話ですが,今日NHKで番組の再放 送をやっていました.

最初の10分ぐらいを見逃したのですが,思っていたよりも「ベル友」の世 界には身につまされるものがありました.

200人の同年代の女性(女の子とか,女子高生単語を使うのに抵抗があるの で,とりあえず同年代の女性と言っておきます.)と「ベル友」になろうと一 生懸命になっている高校生の様子を追ったものでした.

最初は数をこなすことに必死,次にレスポンスのあった相手のプロフィー ルを知ることに精力を傾ける.その際,相手の通っている学校の「偏差 値」を調べるところに涙ぐましさを感じてしまった.(でも気持はわかるよ.)

さて,多数の「ベル友」から特定の一人と「交際」するようになる.交際 はいつも12文字だけの応酬.しかしついに実際に会うところまでこぎつけるの だが,その初対面のシーンがすごい.

「今駅の下にいる」という相手のメッセージにはじまり,同じ駅(渋谷駅か?) で相手を見つけるまでにいったい何回公衆電話に向かったことか!

お互いに目印を決めて,声をかけあえば済みそうなことに何度も何度も電 話を使う.このあたりは見ていてハラハラしてしまった.

実際に話をしようにもうまく話せないでポケベルねたで話題を見つけよう としていたのが印象に残る.だが,ふたりでボートに乗って楽しそうにしてい たことに安心.

で,今日の私の意見ですが,なぜこの話題に私がちょっと過剰反応(?)した かということ. つまり 私の心理ですね.

これは別のレベルでは,他人事ではないのだ.夫も身におぼえがある そうだ.我々にとっては,ポケベルのかわりにインターネットだ.

アクセスログをチェックする.誰が来たかな.ああ,今日も見てるね.

日記の「読んだよ」ボタンを押す.

ごくまれにゲストブックに記帳する.でも多くは書かない.

時にアンケートを作って回答をしてもらう.でも,今のところ選択肢にチェッ クしてもらうだけ.(メッセージを書き込むようにはしていない.)

このようなインターネットの使い方には「ベル友」交際に通じるものがないだろうか?

「読んだよボタン」を押して,とりあえず相手に関心を抱き続けていることを表 明する.でもめったにコメントはしない.

記帳はしてもメールは書かない.そこには,よく知らない人とあまり深く かかわることへの不安がある.

アンケートも本当はテキスト入力式にすればもっと詳しい結果が得られる のだろうが,やはり文章による交流は避けてしまう.

インターネットという,ポケベルに比べればはるかに表現の可能性がある メディアを手にしながら,むしろその情報量の多さを制限することによってあ まりヘビーでない,でも何がしかの人間関係を求めている自分自身に非常にひっか かりを感じるのであります.

夫もベル友高校生にけっこう共感していたような.そういえば,我々はよ くパソコン雑誌から「パソコン通信で知り合って結婚した夫婦」ということで 取材の申し込みがあったが,すべて断わった.

そりゃ,たまたま日経MIXにいたわよ.でも,相手を見つけることが目的だっ たわけじゃなし,それにお互い知り合ってからはメールは単なる意見交換の手 段よ.ほとんどの話は電話でしたのよ.あ,実際に会ったのは知り合って1カ 月後.だから,パソ通というバーチャルな世界で交際してたわけじゃないのよ.

と言って取材を断わるわけです.が,でもやっぱり何か後ろめたさという かいやな気分が残るのです.何なんだろう.

大学に入ってすぐ「音友」でペンパルを見つけてせっせと手紙を書き続け た日々を思い出す.相手は会ってほしがったのに,私は手紙でないといや,と 拒否し続けた.ある日突然の訪問を受け,ひどく戸惑った.土曜の午後,学 食でのことだった.

この交際,

「次はどこで会いましょうか?」
という相手の質問に対し,
今日はうちの大学の学食でしたから,次回はW大(先方はそこの院 生だった.)の学食でどうでしょう?
という返事でおしまいになったように記憶しています.

私って実は「ベル友」的素養があるんじゃないでしょうか.


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Author: Kyoko Rikitake <malte@lang.osaka-u.ac.jp>
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