一年以上凍結していたページを再開してまだ数日だが、アクセスが爆発的 に増えている。夫のCyberscope やテクノ関係のページには非常にアクセスが多いのだが、私のほうにも押し寄 せて来ている。まだとてもお読みいただけるようなコンテンツがないので読者 の方々にはちょっと申しわけない感じがする。
アクセスログを調べてみると各種検索ロボットがお越しのようだ。 小西さんと ころにだけに復活のお知ら せをしておいたのだが(小西さん、ありがとうございました。)、 その検索エンジン「ぽぽぽ」以外からも どんどん来ている。
で、やっとわかったのですが、検索エンジンは他の検索エンジンの情報を も参照しているわけで、それゆえ一ヶ所に更新情報が載るといくつもの検索エ ンジンに伝わってしまうのですね。あっ、これ私、大学院の授業で「検索エン ジンの種類」のうち「メタ検索エンジン」などと言って説明したのでありまし た。
☆急に大学院の授業が懐しくなる。ああ、はやく授業したいな。☆
webの世界の面白いところ、かつ怖いところは、検索エンジンに乗っかって しまうと本人の希望するしないにかかわらず、どんどん情報が広がってゆくこ とですね。そういえば、プライバシーの話を以前よく書いたような気がします。
その方面では 上田さんのサイトに詳細にわたる記事があるので、お任せします。
さて、プライバシーということについて、今回はちょっと変わったお話を したいと思います。
病院におけるプライバシーです。まあ、どういう病気で何科に入院してい ても患者のプライバシーは護られるべきであり、護られるよう配慮がなされて いるはずです。
が、これが神経科(精神科はもちろん)となると、考えかたをちょっと変え ねばなりません。
私が入院していたのは、総合病院の「神経科、神経内科」の病棟で、たま に内科に収容しきれない患者さんが部屋を借りていることもありました。基本 的に出入りは自由な「開放病棟」ですが、午後7時になると玄関の鍵がかかっ て、外に出るどころか、本館にすら行けないというちょっと孤立した場所でし た。さらに精神科とか精神病院になると、開放病棟のほかに、閉鎖病棟という のもあって、鉄の扉でがっしりと外界から隔離されているらしいです。(これ は他の人の入院日記を読んで知りました。)そういえば、昔東京の都立松沢病 院の近くを通ったら、鉄条網で囲った場所があったように記憶しています。
では神経科病棟におけるプライバシーなんですが、これが「ない」と「あ る」の両極端に分れてしまうんです。
たとえば、他の病棟だと、個室にはたいてい電話がありました。が、私の いた病棟にはありませんでした。おそらくそれは、神経を病んでいる患者さん に外界(多くは職場)から情報が入ってくるのを防ぐという治療上の配慮であろ うと思います。部屋に電話があれば便利ですけれど、たいてい神経を病んでい る人は、外界でひどく辛い経験をしているはずです。だから、まず情報断ちが 必要なのだと思います。そのようにして、外から干渉されないという意味での プライバシーは護られていると私は解釈しています。
他の病棟ともうひとつ違うのは、大部屋の個人スペースでしょうか。よその 病棟の大部屋を見たわけではないので、断言はできませんけれど、神経科では 大部屋の各ベットを仕切るカーテンがありません。だからとても見通しがいい わけです。部屋で着替えをする人がいたり、下の世話を受ける人がいる場合は、 部屋のドアをいったん閉めていたようです。
これは、 おそらく「何か」が起きていても、カーテンが引いてあると気づ かないからではないかと思います。プライバシーがないように思えますが、し かしご老人や意識のはっきりしない人のいる場合には、むしろこのほうが安全 な体制かと思います。
では、個室なら何でもできるか、と思われるでしょう? でも、こちらも頻 繁に看護婦さんが「お変わりありませんか?」と様子を見にいらっしゃるので、 みっともないことはできません。さすがに部屋で着替えている時だけは急に入っ て来られると困るので、「ちょっと待ってください」というような「掲示」を ドアに張りつけておりました。あっ、それからお医者さまは神出鬼没です。(笑) (もしこのページをお読みになっても、気を悪くなさらないで下さい。K. 先生。)
入院して間もない頃、部屋中を見まわして、首を吊れる場所があるか確認 しました(冗談)が、まあ、見事なもんで、全くそれのできそうな場所はなし。
こういうふうに書くと、仮に「管理されない自由」をプライバシーと定義 するなら、病棟ではプライバシーはほとんどないことになります。
しかし、もっと重要なところ、すなわち入院患者の病名、病状などについ ては完全に秘密がまもられます。どう見ても健常者としか思えない人が半分ぐ らいいましたが、結局退院するまでその人たちの病名は本人から聞かない限り わかりませんでした。もちろんそれ以外の人についても、絶対に情報は洩れて 来ないのです。(それとも私が勝手に閉じこもっていたから、事情がわからな かったのだろうか?)本当にスタッフは口が固い!
いや、実のところ、本人すら病名を知らない患者さんだっているのです。 そもそも病識(自分が病気であるという自覚)のない人もいるわけで、病名を知 るということは、人によってはあまり本質的なことではないのです。
ちなみに、本人にその病状について、また治療について事実を伝えて、本 人承知の上治療を行なうのが仮にインフォームドコンセントだとすると、精神、 神経科では、けっこうそれは困難です。あるお医者さんのページにヒステリー の患者さんに「あなたはヒステリーだ」と言うとどうなるか、というような話 が載っておりました。
さらに、治療においても、大部屋の人で、個人的な話を主治医とする場合 は、別の部屋に移動していました。個室の場合は、いつでも人に絶対聞かれた くない話ができましたが。
要約すると、"private life" のことをプライバシーと呼ぶなら、あまりプ ライバシーはない、しかし患者の病気にまつわる情報をプライバシーの一部と するなら、完全にそのプライバシーは護られる、というわけです。
ところで、世間一般の人には、まだまだ精神科とか神経科というものに対 する偏見があるような気がします。最近のことですが、私が20年以上もおつき あいのある組織の冊子に短い文章を依頼されて書いたのですが、その時、「う つ病で入院していた」という表現を使ったところ、何やらまずいということで 「心身症」と書きかえたことがあります。「うつ病」だとインパクトが強いの でしょうか?
あと、会社などに出す診断書でも、躁鬱病とか鬱病のかわりに「自律神経 失調症」と書いてほしいと依頼する人もいるようです。これもwebの精神系サ イトで見聞した話です。(ただ、「自律神経失調症」というのは正式な診断名 ではないそうです。)
私の場合も、最初少し迷いましたが、主治医と相談の上、正直に「うつ病」 という診断名を病気休暇申請用の診断書に書いていただきました。病気休暇の 限界が過ぎ、いよいよ休職することになり所定の手続きをとった時も、その診 断名は教授会(!)で報告され、さらに大学の本部へ、そして総長へと送られま した。
要するに大阪大学では、私が「うつ病」である(願わくば「あった」) ことがもう周知の事実となっているのです。
私は復職を強く希望していますが、もしこれが一般企業で、しかもリスト ラ真最中のところだとしたら、はたして私は復職できるでしょうか。
とにかく精神、神経領域では、プライバシーというものが非常に微妙なのです。
Author: Kyoko Rikitake
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