「お守り」としての「青酸カリ」??? 冗談じゃない! [18-Jan-1999]


私はマスコミの報道を鵜呑みにするほど単純ではないし、現実に週刊誌や 新聞に事実がねじ曲げられて書かれたり、全体のコンテクストの中で判断すべ きところを言葉の一部だけ切り取ってあたかもそれが全容を表すものであるか の如く報じられるのを見た経験がある。

これから私が書こうとしていることは週刊誌(週間文春1月14日号)の記事に 基くものなので、根拠が確実とは言えない。その分差しひいた上でお読み いただきたい。

「ドクター・キリコ」なる人物が複数の人に青酸カリを送っていたという 話だが、私が以前から見ていたホームページの運営者の「手記」が上掲の週刊 誌に載っていた。その方の若い奥さんは昨年7月に向精神薬(睡眠薬とかメジャー トランキライザーなど)の過剰服用で死亡されたとの事である。(これも伝聞)

このホームペー ジである。(このURLは「手記」の著者が自ら誌上公開しておられるので、 ここにリンクを張っても差し支えあるまい)

その「手記」および文春の取材によると、青酸カリを買った別の主婦が、 (青酸カリをもらうのは)「いつでも死ねるんだから、もう少しがんばってみよ う」という意味だと言っていた、というらしい。「お守り」としての「青酸カ リ」だったというのだ。

私には全くこの話が理解できない。からきし理解不能。何をたわけたこと を言っているのか。国家機密を盗もうとする国際スパイが持っているならわか る。げんに、大韓航空機墜落事件の時の工作員(男性は死亡。金賢姫は自殺に 失敗)は青酸カリによってスパイとしての最期を遂げた、また遂げようとした。 これは理解できる。

普通の人が仮にインターネットにおいて自殺ネタで盛りあがって、「死ぬ 気なら何でもできるよ、死ぬ気になってがんばろう。いざという時のおまもり に青酸カリを持っておこうよ」などという一種の集団ヒステリー的状態になっ て実際に毒物を手近に置いたのだろうか。

仮にそうだとすると、これは正常な精神状態ではない。一人の感情が他人 に移り、それがまた他の同じような境遇の人に移り、上にも書いたような集団 ヒステリーという状態をひき起こしたのだろうか。べつにインターネットでな くても、この手の状況は生じ得るけれども、ふつう、本当に毒物を入手しよう とするだろうか? 毒物を入手するところにすでに自殺の意志が見られると思う のだが。

まあ、私はこの事件の報道にはいろいろ問題を感じる---例えば、インター ネットだからこういう事態になった、というような論調とか、インターネット は諸悪の根源のような発言などにはうんざりさせられている---が、しかし仮 に上記の手記、取材が本当であったとしたら、「死ぬ気でがんばる」というの は「努力した結果疲労困憊し、心身が壊れてしまってそのまま死んでしまっても仕 方がない」ほど頑張るという意味であって、死ぬことを最期のオプションにし て何かをやる意味じゃない、と強く反論したい。

だいたい「いつでも死ねるから」頑張るって、そもそも意味不明ではないか? 私なら「いつでも死ねる」んだったら、悪の限りをつくします。やりたいだけ 悪いことをして、この世の憂さ晴らしをしてから死にますね。

あなたには、「いつでも死ねるからがんばる」が、理解できますか?

うつ病で死を身近に感じた私としては、甘ったれたことを言うんじゃない、と はらわたが煮えくり返る。それとも彼らはやっぱり精神が壊れていたんだろうか?


私がうつ病で死と隣りあわせでいた頃の気分を 「暗い雲」の雑記の本日分に書いておきました。別のページの宣伝でした。:-)
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Author: Kyoko Rikitake <malte@k2r.org>
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