さて、私、この一週間余り、この世のものとも思えぬ凄惨極まる偏頭痛で 全く廃人同様でありました。日本の病院で処方可能な薬剤すべてが無効という 激烈な偏頭痛でした。
これが続けば近々希望している社会復帰はおろか、家事すらもできない状 態に陥ってしまいます。そしてそのことを思うと救いようのないパニック発作 が起きてきまして、病院を緊急受診せざるを得ず、その待ち時間すら偏頭痛と 不安発作を我慢できなくて頓服薬を次々と服用する始末でした。
すべての鎮痛剤が無効とわかって、最後に残してあった唯一のオプション をとる決心を致しました。それは、元来「てんかん」のための薬であるが、三 叉神経痛に特異的に効くという薬で、25年前に一度だけ服用したことがあり、効 果はあったものの、副作用の眩暈でひっくりかえってしまった薬であります。
「最後のおまもり」としてとっておいた薬をとうとう服用してしまったのです。 もちろん毒薬ではありません。:-)
が、非常にショックなことに、その最後のオプションたる薬すら効果がな かったのです。
さあ、それからはもう泣き叫びたい気分です。どの薬も効かない、しかも 「あの」特別な薬すら! 緊急受診した時は病院の待合でしゃくりあげそうになっ て廊下の片隅で小さくなってしました。
緊急受診と、そして本日の定例の受診で、主治医とよく話しあってみたの ですが、入院というオプションは、社会復帰に向けてせっかくリハビリしてい るのに、入院すればそれを大きく後退させるので、今すぐには考えない。が、 もちろん場合によってはあり得る。そして例の抗てんかん薬を少量だけ毎日服 用してみると同時にある漢方薬(更年期障害などに使われるもの)を併用する、 ということに決まりました。暫定的結論です。
今回抗てんかん薬が出てきたのには理由があります。
1997年12月(この月に入院)から、現在に至るまでの「頭痛カレンダー」を 作成してみて、偏頭痛の起きた日に印をつけたところ、入院中はほとんど偏頭 痛が起きておらず、自宅療養期になっても月1回、だいたい2-4日程度であり、 かつ鎮痛剤で対処できていたのが、今年に入って急激に回数と頑固さがひどく なり、3月は動けない、何もできないほどの偏頭痛の起きた日が18日もあるこ とが判明。だいたい春には偏頭痛は悪化するのですが、今年は異常なのです。
思いあたるふしといえば、最近少し書き物など頭を使う練習をしているこ と、調べものによくインターネットを使うこと、ヒマさえあればネットサーフィ ンしていることです。
そこで、ハタと思い至りました。ひょっとして(世間でいう「大発作」とは 異る)てんかん体質なんじゃないだろうか、と。
念のために申しますと、一般に「てんかん」というとバタリと倒れて、口 から泡をふいて体を痙攣させる病気と思っている人が多いと思いますが、それ は正しい理解ではありません。それは単なる「てんかん」の一形態(大発作)に 過ぎず、マイナーな発作、たとえばミオクローヌス発作など手足がピクピクす るものや、外見に目立った変化のないものもあるのです。
皆さんはテレビの「ポケモン事件」を覚えておられますか。たしかピカチュ ウが得意技を使った時の背景画面の激しいチラつき(確か青と赤)で、たくさん の子供が神経発作を起こして倒れたという件です。
ひょっとすると私にもその傾向があるのではないか。そもそも最近ブリン クする文字やアニメーションの入ったチラチラするページには殺意をおぼえる ほどの不快感を感じていました。あとCRTが白地だとひどく疲れます。(今使っ ている X-Term および Windows の背景は昔の NeXT のようなグレースケール で、エディタなどは黒地に白の文字表示です。)
ご存知と思いますが、テレビ同様、CRTも一秒に何十回かの速さで点滅を繰 り返しています。この点滅が私の脳に特異な悪影響を与えているかもしれない。
そのように主治医に伝え、てんかん的発作の可能性なきにしもあらずとい うことで、脳波検査を受けることになりました。これは何度か受けないと結論 は出せないそうですが、とりあえず来週一回目です。
この話、以上が前書きです。で、本題はとても短いです。
CRTに向うことが私の脳に悪影響を及ぼすにしても、仕事上、全然コンピュー タを使わないわけには行かない。だから、CRTに向う時間を最小限に留める。 一回30分以内。そういう原則を自分に科すことにしました。
しかし、そんなに制限してしまうと、ちょっとした文章を書くにも何回か に分けて書かないといけないことになります。
さあ、そこで考えました。
「思考と書くことのベクトルの方向転換をやろう!」
できるだけコンピュータに向う時間を減らすために、あらかじめ文章をよ く考えておく。長い文章なら、メモを取りながら、いったん頭の中で仕上げて おく。そして、CRTに向うや一気呵成に書きおろす。要するにコンピュータは 清書の手段であって、文章を練る場としないのです。
そもそも昔は原稿用紙を前に思考を往きつ戻りつさせながら、だいたい文 章が決まったところで、文字として書きおろしたのでありました。もちろん若干 の修正や前後の入れ換えはやりましたが。(私は入れかえる部分の原稿用紙を 切りとって、挿入する部分に貼りつけてました。)
ところが、ワープロの出現により、我々は何も考えないまま、とりあえず 画面に向うようになった。そして出てくる言葉や文を「とりあえず」並べてお く。そしてCopy & Paste の機能を使って整理してゆく。あるいは、アウトラ インプロセッサなどを利用して、アイデアを思いつくまま書きとめておき、あ とから整理して文章を膨らす。
それによって、熟考しないままの文をあれこれ入れかえ、消したり書いた りして論文などを仕上げるようになってしまった。
ものを書く、あるいは書ける量は増えたけれど、あまり熟考しないで大量 生産した文章の多いこと、多いこと。いえ、人さまのことではありません。自 分のことです。
エディタの画面を前にあれこれ考えては書き、ちょっと思いついてはメモ し、そして切ったり貼ったりする。途中で気が抜けて作業がいやになって来た ら、webのあっちこっちをチョロチョロとサーフィンしてまわる。で、その中 にはけっこう面白くてハマるページもあるが、やたら視覚的にも刺激的で疲れ させるページもある。
かくして、膨大な時間を目に良くない(たぶん私の場合は脳に良くない)CRTの前で 過す破目になっていたわけです。
これをやめるのです。
考えてから、エディタを立ちあげよ。
そうです、この文章も私にとっての限界時間30分以内(20分たらず)で書き 終えようとしています。
普段の生活でも、ついヒマさえあればネットを歩きまわりたくなるのです が、CRTの電源に手が行きそうになったら、その 手を引っこめて、おなじキーボードでもピアノのキーボードに向うなり、 本を読むなり、ちょっと散歩に出るなりして、ネットの誘惑から身をかわしま す。
さてはて、脳波検査の結果はどう出るでしょう。偏頭痛は退治できるでしょ うか。
とにかく私に今できる唯一のこと、CRTに向う時間を制限する、これだけは 実行したく思います。また、入院なんてことになると治療も振り出しに戻って しまうので。
自動的に引用符をつけてくれるメーラーを使って漫然とメールの返事を書くのも できればやめたい。言いたいことだけを、あらかじめ考えておいてから書く。
きっと私の書くメールの量が激減しますよ。その時はすみません。
Author: Kyoko Rikitake
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