タイトルの「灰色の紳士」、ミヒャエル・エンデの「モモ」をお読みに なった方なら容易に想像できるでしょう。「手前どもの銀行にお時間をお預け になりますと、まことにお得でございますよ」という調子で人々から時間を奪っ てしまった連中のことである。
結論から言おう。私にとってかくも成長したインターネットは、一方では、 研究、教育、娯楽になくてはならない貴重な道具なのだが、他方時間と精神の 平衡を盗んでゆく「灰色の紳士」でもあり得る。
バンド幅の拡大、専用線の低料金化、それに何といっても身近さという点 において、インターネットはこの数年のうちに大発展したと思う。
一部においては完全にバブル化し、今やそのバブルも崩壊しようとしてい るように思える。エンドユーザーへのネット通販など、もう頂点に達っしてい る感がある。無数のネット通販店が成功し、その何倍もの店が消え去っている。
いずれにせよ、このインターネット業界、弱肉強食の全く明日の見えない 業界である。(例: 多数の買収、合併など)
そして私が何よりも眉をひそめるのは、インターネットがスパムに代表される 不快なまでの商行為の土台となってしまったことである。
webのページにアクセスすると、広告の嵐である。それも私の「死ぬほど 嫌いな」アニメーションとかブリンクを使ったもの。貴重な情報を得ようとし ても、スパムのおかげですっかり嫌になってしまう。とにかくあざとい広告は 目と神経を疲れさせるだけである。
何だか論旨がずれて来たが、5年前には、不便ながらもgopherとかftpで情報を 検索、ダウンロードすることとメール使用がメインだったインターネットは、 今やwebなしには語れない。
そのwebも、「誰でもがブロードキャストできるメディア」と化し、今まで 一般には公開されなかったような情報も検索できるようになった反面、叫ぶ必 要のない人間まで叫びはじめ、また買う必要もない喧嘩を買う人々が増え、時 に混沌としてしまう。おそらくこれに拍車をかけたのは、web掲示板であろう。
誰でも、自由に書ける掲示板はよほど管理者がしっかりしたポリシーを持っ ていない限り、必ず荒れる。このようなことはパソコン通信時代からずっとあっ たのだが。
個人日記にあまり深くつきあって、とんだ目にあったこともある。掲示板 も気をつけないと相手が特定できないだけに、誤解も生じうる。
何やら私の精神はもうこの混沌からおさらばしたいのだ。いや、言ってお くが、インターネットをやめるというのではない。自殺するぞ、自殺するぞ、 と人にふれまわる人間に限って、自殺しないのとは話が違う。
昨日も書いた通り、私は自分自身のイ ンターネット利用のリストラクチャリングをしたいのである。
そして、今となって長いネット生活を省み、膨大な恩恵を亨受するとともに、 「灰色の紳士」たちに、ずいぶんと時間を預けてしまったな、と痛感するので ある。
Author: Kyoko Rikitake
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