
昔翻訳の仕事をしていた時,よく日本語の社交辞令や枕ことばに悩まされた.
「○○の候,××様にはご清勝のこととおよろこび申し上げます.」とか, 「どうぞよろしくお願い申し上げます.」など,どう訳すのか? 訳さずにほうっ ておくしかない.ところが,原文(日本語)と欧文をつきあわせて見たとき,明 らかにその部分が欠落していることがわかるので,クレイムをつけてくる依頼 者があるので困った.
習慣が異なれば,表現の方法が違うのは当然だが,ちょっと戸惑うのは食 事の挨拶.
日本では,「いただきます!」と言うのが普通ですよね.食事を出すほうが 「おあがりなさい!」って言いますか? 私は言わないなぁ.
「ごはんだよ.さ,おあがり!」
これだと犬に言うみたいですよね.
が,ドイツ語では,直訳すると「良い食欲を!」という意味のことを言いま す.
"Guten Appetit!"(グーテン・アペティート)これは出すほうも出されるほうもお互いに言い合うせりふです.フランス語でも そうですよね.
なかなかこういうシーンは直訳できないんですよね.
次に「行ってらっしゃい」,「行って来ます」.
これも直訳不可能ですねぇ.仮に命令形で直訳すると,「行っちゃえ!」と いうか,下手をすると帰って来なくていいってニュアンスになりかねないです.
じゃ,ドイツじゃ出勤前にどう挨拶するか? 夫婦ならキスして,「良い一 日を!」ぐらい言うかな.
前にも書いた, エレベータ の中での気まずい沈黙を解消するためのセリフとして私が愛用しているの がこの「良い一日を!」です.これは英語,ドイツ語,フランス語のいずれに も該当する表現があるのでとっても便利!
が,日本人どうしで,「どうぞ良い一日をね」なんて言うとマが抜けてし まいます.
「あー,今日もシンドイけど,がんばろ」になってしまうのが悲しいです.
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