
英語の can, must, will などの助動詞それにドイツ語で「話法の助動詞」 と呼ばれる一連のものは,文法的にはきわめて簡単で,英語なら 助動詞 + 動 詞原形,ドイツ語ならば,助動詞(定型位置)...動詞の不定形(文末)という構 文となる.
ところが,これらのニュアンスを付加する助動詞というのは,形は単純で も,意味が微妙なので,うまく使いこなせるようになるにはそれなりに経験と 勘が必要だ.
試験に出題すると,文法問題としては点数をとりやすいのだが,意味まで 含んだ問題を出すと成績はガタンと落ちてしまう.
文法テストでは,語法として正しければマルにせざるを得ないが,読みも ののテストで出題するのはむずかしい.
「病院では携帯電話を(a. 使っては<いけません>.b. 使って もも<かまいません> c. 使わなくては<なりません>」のうち常識的な解答は a. しかない.が,いずれも文法的に正しい文たり得 る.だからこの手の問題は試験問題には適さない.
以前,学生に「わかりにくい単元」というテーマでアンケートをとったら, 以外にも接続法とならんで「話法の助動詞」がトップに来たことがあった.な るほど,文法規則は無理やり覚えることができても,ニュアンスというのはな かなか感じにくいものなのか.
以前夫がモントリオールのホテルにファックスで問い合わせをした時のこ と,返事にひどく高圧的と思われる一文があってびっくりした.が,その語句 をひとつひとつフランス語に置き換えて直訳してみたら,きわめて丁寧な文章 だということがわかった.
なかなかニュアンスを伝える助動詞は直訳ではだめなのだ.ドイツ語と英 語,フランス語で1対1の対応表を作るわけにはゆかない.ましてや日本語で訳 をつけるわけにはゆかないのだ.
話がちょっとはずれるが,HTML関係のマニュアルを見ていたら,should, must, etc.といった助動詞の意味が最初に定義されているのがあった.なるほ どねぇ,誤解を避けるために助動詞についてはじめから断り書きをしておくと いうのはいいですね.
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